施工管理技士 一條 真弓さんに聞く

(一社)みやぎ中小建設業協会 
  船山建設(株) 工事課課長 

『現場は一期一会』
--建設業界に入ったきっかけはなんですかーー
 舩山社長に「施工管理の資格を取ってみないか」と言われたことです。わが社の事務員で欠員があったところに、私が入社希望で飛び込み面接をしました。「事務員はできるだろう」の気持ちで入社しました。土木は右も左も知らないものばかりで、ほんとうに施工管理技士の資格が取得できるのだろうかと思っていましたね。

--男社会といわれる建設業界に入って思ったことはありますかーー
 そうですね。正直言いますとこの業界は厳しいです。技術はもちろん、コミュニケーションができていないとむずかしい部分があります。ましてや女性ですので、上から目線で見られることが多いです。現場は生き物のように毎日姿を変えるため、段取り、指示には細心の注意を払う必要があります。女性が男性に指示をすることには抵抗がありましたし、勇気が必要でした。当初は技術面の知識が乏しかったため、指示ができずに先輩たちにフォローしていただき今に至っています。
 現場に入る前に確認していることがあります。それはお手洗いで、一番気になることです。もう1つは、作業着が濡れたり、汚れたりしたときの脱衣所がほしいですね。男性は仕事人間ですから、仕事のことしか考えないですが、衛生面を考えてしまうのは女性の本能でしょうかね。

--女性技術者に対する会社の反応はどうでしたかーー
 入社当時は、男性のほうが私にどう接していいのかわからないようでした。私も相手が男性ばかりですし、年上の方たちにどう接したらいいのかわからず、距離感がありすぎて1日中、対話できずに終わることが多々ありました。男性と違い、頼みにくいようです。

--女性に建設業を知ってもらうために必要なことは何だと思いますか―ー
 今、活躍している女性たちをどんどん紹介していくことです。建設業は男性の職場というイメージがつきまとっていますし、3Kと言われ続けてます。それをくつがえすためには、活躍している女性を紹介、対話ができれば、建設業のイメージが湧いて不安だったけど「私もできるかも…」と思う気持ちが大きくなり、自然に女性技術者が増えるのではと思います。
 建設業は奥深く、自分が携わったものが皆さんの役に立っている、地図に半永久的に残るという感動を味わってもらいたい。

--建設業を目指している女性に向けてメッセージをーー
 主婦上がりの私ができたのですから、あなたもできるはず!と言いたいですね。

--未来の自分についてーー
 後についてくる女性技術者たちの働きやすい環境づくりを担っていけたらいいな。

--大切な時間を教えて下さいーー
 写真! 毎日、朝日を撮影(曇、雨のときは庭を散策)。寝る間も惜しんで起きていきます。風景、花、撮り鉄…など。写真撮影に出かけることでいろんなものに出会えて気分転換になり、「また、がんばっぺ!」と前向きにさせてくれます。写真は、露出、構図、自然環境によって二度と同じものには出会えません。「一期一会」ですね。現場も同じかな…と感じる時があります。私からカメラがなくなったら、抜け殻のようになってしまいます。それだけカメラを大事にしています。