井上里沙さんに聞く

福留開発株式会社
高知県中小建設業協会

『子供に「お母さんがつくった道路」と胸を張りたい』

ーーお仕事の内容について教えてくださいーー
 入社後約5年間は現場にて施工管理を行っていましたが、第一子の育児休暇復帰後のH28年度からはi-Constructionの推進チームに所属し、ドローンや3Dスキャナーを使っての3次元測量、計画・解析等を行い、数件の現場と本社を行き来しています。4歳と1歳の子供がいるため残業はできませんが、会社の理解もありフルタイムで働けています。
資格は一級土木施工管理技士を取得しています。

ーー建設業界に入られたきっかけは何ですかーー
 中学生の頃に、「建設や建築の仕事がしたい」と思い、専門の学校へ入学しました。入社して10年目になります。

ーー建設業界の魅力とはーー
 やはり後世に残る「もの」ができることです。
自分の子供に「お母さんが造った道路だよ!」と言えたら誇らしいですからね。

ーー現場で働く女性の皆さん(女性技能者・技術者)に対する会社や現場の反応はありましたかーー
 私が入社した頃は、新卒者を1名採用するかしないかの時代でした。しかし、そのような状況の中で女性である自分を採用してくれた社長をはじめ会社の皆さんにはとても感謝しています。
また、最初は現場に女性がいること自体が珍しかったため、協力業者の方には、よく二度見されていました。(笑)

(向かって一番右)

ーー建設業界や現場に求める改善点などはありますかー
 私の働く会社では「男性だから。女性だから。」という境界がなく技術者として見てくれていると思うのですが、まだまだ建設業界は女性技術者が少なく、逆に女性技術者という存在を特別に扱っているように思います。
建設業界に携わる技術者の思いは同じだと思うので、あえて【女性】というところを強調せず、【技術者】として見て欲しいと思います。
また、担当する現場には女性専用トイレを始め、現場事務所には女性専用の休憩室(更衣室)があり大変助かりました。

ーー現場で常に心がけていることはありますかーー
 あいさつはもちろんですが、自分から積極的に話しかけたりしています。
初めは目も合わせてくれなかった作業員の方が、色々な話(仕事以外のプライベートなことも)をする中で目を見て話しをしてくれるようになると、とても嬉しいです。

ーー家事(ご結婚)と仕事の両立でつらっかったこと良かったことーー 
 今まででしんどいな…という事はありませんでした。特に、結婚する前から、今の仕事を辞める気持ちはないことを主人に話していましたので、家庭の事も協力してもらっています。
しかし、子供が病気などで仕事を数日休まないといけないときなどは、会社へ迷惑がかかってしまう申し訳なさと、子供といつも一緒にいてあげられたら…という気持ちで複雑な気持ちになります。

ーー今の仕事に就いてつらかったこと、または1番嬉しかった言葉等はありますかーー
 ある現場で現場代理人になった時、発注者にあいさつへ行くと第一声が「え?女性なの?」と言われてしまいました。その時は笑顔で対応したものの、とてもショックでした。
しかし、数年後に担当者の方にお会いする機会があった際に、担当者だった方からお声をかけて頂き、「頑張っているんだね!」と言われた時にはものすごく嬉しかったです。

ーー未来の自分についてーー
 現在、「積算」を勉強しているので、一日でも早く会社の即戦力となるような力を身につけたいです。
まだ子供が小さくて難しいかもしれませんが、再び現場へも出たいですね!!

ーー建設業を目指している女性に向けてメッセージをーー
 実際就職してみると思い描いていたものと違う現実があり戸惑うこともありましたが、自分にはこの世界しかないと思って仕事をしています。
土木にも色々な役割、分野があるので、自分の興味のあるものにどんどん足を踏み入れて選択の視野を広げていってください。
今は環境も整ってきていますので、女性だからと躊躇せず、建設の世界に興味がある方は一緒に建設業を盛り上げていきましょう!

ーー貴女の大切な時間を教えて下さいーー
 仕事とプライベートの切り替えはしっかりしています。というか、17時以降はお母さんになってしまいますので…でも、その時間が私にとっては大切な時間だと思います。いつもバタバタしていますが、毎日充実しています。
そして、毎晩のビールは最高です!(笑)